暴力団追放兵庫県民センターは23日、地域住民約30人から委託を受け暴力団対策法に基づく代理訴訟で、兵庫県加古郡稲美町にある特定抗争指定暴力団・神戸山口組の本部事務所の使用差し止めを求める仮処分を神戸地裁に申し立てた。
稲美町の神戸山口組本部
神戸山口組は2015年8月に六代目山口組を離脱した幹部らにより発足。当時、本部事務所を兵庫県淡路市志筑(俠友会本部・解散)に置いていたが、2017年10月に同センターが「代理訴訟制度」に基づき、住民に代わって事務所の使用差し止めを求める仮処分を神戸地裁に申し立て、同年11月に事務所としての使用を禁止する仮処分が決定した。2018年まで神戸山口組の本部事務所とされていた「俠友会」の本部事務所はその後、淡路市が購入した。
神戸山口組は2017年10月に神戸市中央区二宮町にあるビルの権利者名義を、当時の神戸山口組最高幹部に変更して本部事務所を移転し、兵庫県公安委員会が2018年12月に神戸山口組の新たな本部事務所として認定し官報で公示した。
2020年1月7日、神戸山口組と六代目山口組は、抗争の激化を受けて暴力団対策法により「特定抗争指定暴力団」に指定され、神戸市中央区二宮町にある本部事務所のビルも立ち入りが禁じられた。
2023年7月21日、兵庫県公安委員会は神戸山口組の本部事務所が加古郡稲美町に移転したとして、「主たる事務所」として本拠地の変更を発表。兵庫県警は同年12月23日、暴力団対策法に基づき稲美町の本部事務所の使用制限する仮命令を出した。
危機感を募らせた近隣住民から同センターに相談があり、本部事務所の指定を受けて申し立てた。稲美町の事務所は暴対法の「特定抗争指定」に基づいて既に使用禁止とされているが、使用差し止めが認められれば、抗争終結後も事務所の使用や組員らの立ち入り、会合の開催などが禁じられる。