福岡県警は8日、2022年12月に福岡県福津市が暴力団事務所の使用禁止を申し立て、仮処分が決定して使用禁止となっていた特定抗争指定暴力団・神戸山口組系「二代目安部組」の本部事務所について、今月2日に暴力団と無関係の民間個人に所有権が移転し、「撤去」されたことを確認したと発表した。
安部組事務所に車突入(2022年8月1日)
不動産登記簿によると、安部組の事務所は木造2階建て(延べ床面積84平方メートル)の一戸建てで、今年5月9日に福津市と安部組側が撤去について合意し、同月17日に県警が事務所内の荷物が搬出されたのを確認していた。今月2日に民間の個人に所有権が移ったという。
安部組を巡っては、2022年8月1日に特定抗争指定暴力団・六代目山口組系三代目弘道会傘下「三代目米川組」組員2人が乗る乗用車が、安部組本部事務所に突っ込み、建造物損壊などの罪で実刑判決を受けたほか、同月31日には山口組系「一道会」組員が、安部組組長宅の玄関前に駐車された無人の乗用車に放火し、現住建造物等放火未遂などの罪で起訴された。
一方で同年9月には、弘道会傘下「西部連合」会長宅の車庫にダンプカーが突っ込むなど、福岡県内では山口組と神戸山口組の抗争事件が相次いでいる。
福津市は2022年12月、事件の影響でパトロール強化などが必要となり、「業務遂行権」が侵害されたとして、福岡地裁に安部組事務所の使用禁止の仮処分を申し立て、同月26日付で地裁が組員の立ち入りや定例会の開催などを禁じる決定を出していた。