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今年2月に指定暴力団・住吉会の本部事務所が入っていた東京都港区赤坂にあるビルの所有権が売却され、6月からビル解体工事が始まったが、警視庁は現在、住吉会本部の移転先を特定できず、暴力団対策法に基づく事務所の公示ができない状態となっている。
東京都港区赤坂の旧住吉会総本部
暴力団対策法と施行規則は、「指定暴力団」の所在地や代表者などに変更があった場合、都道府県の公安委員会が官報で公示すると定めているが、警視庁は住吉会本部のあった赤坂のビルの区分所有権売却後、本部事務所の移転先がつかめていない。
住吉会は2021年12月以前から東京都新宿区のマンション一室を’’事務局’’として使用していて、埼玉県日高市の建物や千葉県富里市の事務所でも会合を開いているが、現状ではいずれの施設も本部と指定できるだけの決め手がないという。
港区赤坂にある地上9階、地下1階建てのビルは1966年完工で、1997年に住吉会の関連会社が地下1階から地上2階部分(計約800平方メートル)などを取得し、本部事務所として使用していた。2021年12月に区分所有権を港区の不動産会社に約8億円で売却し、今年2月に建物すべての所有権を埼玉県内のパチンコ店経営会社が購入、6月下旬にビル解体工事が始まった。仲介業者は近隣住民に対し、「跡地は当面、駐車場として使われる」と説明していた。
警視庁は、新たな事務所の公示ができなければ、暴力団排除のための民事訴訟を起こす際の訴状の送達先が不明になるなど、暴力団排除訴訟などに支障が出かねず、「解体されつつある建物が事務所所在地となっている現状は放置できない」とし、住吉会本部の移転先について情報収集を進め特定を急ぐ方針。