東京地裁に8日、指定暴力団・松葉会が本部事務所を置く東京都台東区のビル敷地について、地権者の法人が松葉会側に土地の明け渡しを求め提訴した。
松葉会本部ビル
松葉会の本部事務所が入るビルを所有しているのは、松葉会幹部が役員を務める関連企業とみられる。原告は1995年にこの企業と土地の賃貸借契約を結んだが、当時は関連企業であることも、暴力団事務所として使われることも知らなかったと説明。ビルは1996年に建てられ、遅くとも1997年から松葉会の本部事務所として使われているという。訴訟では「反社会的勢力に使用されることを想定して貸したわけではなく、契約の解除事由になる」と主張する方針。このビルでは2020年1月25日、1階に火炎瓶のような物が投げ込まれてシャッターなどが焦げる事件が発生。原告側は背景に暴力団同士の抗争があったとして、「延焼で周辺住民が巻き込まれる可能性があった。危険な攻撃を招いており、土地を貸し続けるのは困難だ」と主張。「松葉会総本部事務所は、国内有数の観光地である浅草の目と鼻の先にあり、周辺に縄張りを誇示するなど松葉会にとって極めて重要な存在だ」、「撤去は同会の弱体化、撲滅に大きな意義がある」として、「本部事務所が存在する限り、周辺住民や観光客らの生命、身体への危険は除去することができない」と訴えた。
原告側は、裁判の前に所有権を第三者に移転されることを防ぐため、ビルの譲渡などを禁止する仮処分を申し立てていて、東京地裁に認められた。