福岡県警は6日、偽造運転免許証で契約したクレジットカードを空き物件に郵送させ、カードで購入したiPhoneやタブレット端末を転売したとして、「匿名・流動型犯罪グループ(通称・トクリュウ)」のメンバーで職業不詳・石川剛樹容疑者(31)=大阪市中央区徳井町=ら男6人が詐欺や偽造有印公文書行使罪などで起訴されている事件で、偽造免許証は約400枚、使った空き物件は2府7県の約600軒に上り、約9500万円の転売益を得ていたと明らかにし、有罪判決を受けた2人を含む別の6人も摘発し、グループは福岡、山口、愛知各県と大阪市の21歳~35歳の男計12人と発表した。
家宅捜索で偽造免許証やカードなど2千点以上を押収
12人は2023年4月~今年3月、福岡や大阪、名古屋各市などで架空名義のクレジットカードを使ってiPhoneなどを2、3台ずつ購入し、買い取り店で偽造免許証を示して一度に100万円前後で売却。また、アパートなどの空き物件で配達員に偽造免許証を見せ、iPhoneやタブレット端末、銀行キャッシュカードなどをだまし取った疑いが持たれている。県警は12人の認否を明らかにしていない。
グループは、空き物件での荷物受け取りなどを担う「外回り」と、外回りの募集・指示役で免許証偽造などを担当する「内勤」で分業していて、外回りは無職の男(28)=愛知県津島市=ら9人、内勤は職業不詳の男(31)=大阪市中央区・詐欺罪などで起訴=ら3人とみられている。
偽名と空き物件の住所、外回りの顔写真で偽造した免許証や健康保険証を使い、本人確認などが簡素化されたオンライン手続きで各種契約をしていた。作成したクレジットカードは約500件、その引き落とし口座などのキャッシュカードは約340件にのぼる。
不動産情報サイトで免許証偽造に住所を使った空き物件の情報を入手し、カードや購入品はこの住所に送らせ、外回りが郵便受けから不在連絡票を抜き取って再配達を依頼し、届けに来た配達員に接触して受け取っていた。オートロック式でなく、管理人もいない集合住宅などを選んでいたという。
クレジットカードではiPhoneやタブレット端末、ガソリンや生活用品の購入、偽造免許証の製造拠点となった物件契約などに使用されていた。グループは福岡市から大阪、名古屋両市へと拠点を変え、さらに横浜市に移ろうとしていたという。
2023年春から約1年間のクレジットカード利用額は少なくとも計約7300万円に上り、キャッシュカードの一部は他の還付金詐欺で振込先に使われたことが確認されていて、別の犯罪組織に譲渡したとみられている。