2011年に北九州市で暴力団排除運動に取り組んでいた建設会社会長だった内納敏博さん(当時72)が、特定危険指定暴力団・工藤會系組員らに射殺された事件で、建設会社会長の遺族2人が31日、工藤會トップで総裁・野村悟被告(74)や、工藤會ナンバー2で会長・田上不美夫被告(65)ら3人に損害賠償を求める訴訟を福岡地裁に起こした。
福岡地方裁判所
建設会社会長は2011年11月26日夜、同市小倉北区の自宅前の路上で射殺され、福岡地検が2017年2月に工藤會系組員ら8人を殺人罪などで起訴し、一部の被告について有罪が確定している。
原告側は、実行犯とされる工藤會系五代目田中組幹部・中西正雄被告(55)の不法行為責任を問うほか、野村被告や田上被告は事件への直接的な関与は認定されていないが、遺族側は暴力団対策法に基づく指定暴力団の代表者としての責任の規定などに基づき賠償責任を追及する。
遺族は代理人弁護士を通じて「事件直後は思い出すのもつらくて忘れようとしていたが、心の整理をつけなければいけないと、提訴に踏み切った」とコメントを出した。
工藤會が市民を襲撃したとされる一連の事件では、2012年の福岡県警元警部銃撃事件や、2014年の歯科医師刺傷事件などで、被害者らが野村被告らに損害賠償を求めて提訴。賠償責任を認める判決が確定したほか、和解金の支払いで和解が成立するなどしている。