京都地裁で20日、2013年に「餃子の王将」を全国展開する「王将フードサービス」本社前で、当時社長・大東隆行さん(当時72)が射殺された事件で、殺人などの罪で起訴された特定危険指定暴力団・工藤會系「石田組」幹部・田中幸雄被告(57)の初公判に向けて、争点や証拠を事前に絞り込む非公開の第4回公判前整理手続きが行われた。
田中幸雄被告(2022年10月)
京都府警や京都地検は、これまで田中被告の認否や供述内容については明らかにしていなかったが、弁護側は、田中被告が逮捕時から一貫して「(事件とは)関係ない」と否認していることを明らかにし、公判では「(被告は)そもそも事件には関わっていない」として無罪を主張する方針を示した。
田中被告は仲間らと共謀して2013年12月19日午前5時45分ごろ、京都市山科区の王将フードサービス本社前で、大東さんの腹部や胸に向けて発砲し射殺したとされる。死因は失血死だった。
京都府警は、事件の直接証拠がない中、犯行現場付近に残されたタバコの吸い殻から田中被告と一致するDNA型が検出されたことや、防犯カメラの映像解析などから様々な状況証拠を積み重ねて逮捕状を取り、2008年に福岡市の路上で大手ゼネコン「大林組」従業員らが乗った乗用車に発砲したとして、福岡刑務所に服役していた田中被告を逮捕・起訴した。
田中被告が実行犯で、複数人が関わった組織的な犯行とみられているが、田中容疑者と大東さんの接点や指示系統は明らかになっておらず、事件の背景は未だ解明できていない。
公判の期日はまだ指定されていないが、公判では田中被告が実行したかどうかの犯人性が争点となる見通しで、検察側は積み重ねた状況証拠によって立証していくとみられる。