福岡県警は18日、2011年に北九州市小倉北区妙見町の建設会社役員・内納敏博さん(当時72)が自宅前で射殺された事件で、特定危険指定暴力団・工藤會幹部(53)=組織犯罪処罰法違反罪で起訴=や、工藤會系組幹部(51)=同罪などで起訴=ら12人を殺人と銃刀法違反の疑いで逮捕する方針を固めた。県警はこの事件に関与した疑いがあるとして、このうち工藤會系組員1人を18日に逮捕、幹部ら11人は19日に一斉に逮捕する方針。
福岡県警察本部
事件は2011年11月26日午後9時すぎに発生。福岡市で開催されていた大相撲九州場所を観戦後、乗用車で帰宅した内納さんが自宅前で助手席から降りたところ、バイクに乗った2人組のうち、後部座席の男から2回発砲を受け、1発が首に命中して失血死した。容疑者は銃の扱いに慣れた人物で、事前に内納さんの行動を十分に把握した上で計画的に殺害した疑いが持たれている。
内納さんが福岡市内から高速道で自宅へ帰る車を、工藤會幹部らが追跡する姿が複数の場所で確認されているほか、複数の関係者が事件への自らの関与を認めており、その他の状況証拠も踏まえ、逮捕できると判断した。
内納さんの会社は、大手ゼネコンの下請け業者として、ビルの柱などの型枠工事を請け負っていた。二次下請け業者を選定する「名義人」も務め、業界をまとめるリーダー的な存在だった。
県警は2014年9月に工藤會の「壊滅作戦」に着手。中枢幹部らの摘発を進めており、工藤會トップ・野村悟被告(70)は殺人罪などで計6度起訴されている。野村被告が関わったとされる事件に関しては、別の被告の公判が2016年11月に福岡地裁で始まっており、今年3月22日に判決が出る予定。
工藤會の構成員は2015年末で約450人。作戦着手以降、離脱する組員が増加し、2016年1~9月末で32人が工藤會を脱退している。