福岡地裁に15日、特定抗争指定暴力団・六代目山口組傘下組員に特殊詐欺事件で現金をだまし取られた福岡県内の被害者5人が、山口組の司忍こと篠田健市組長(83)やナンバー2の高山清司若頭(77)、舎弟頭で「二代目伊豆組」の青山千尋組長(78)、「二代目一道会」傘下「二代目定松組」の光安賢司組長(45)の4人を相手取り、被害金や慰謝料など計約2250万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。
福岡地方裁判所
原告の5人は、山口組傘下組員が関与した詐欺事件で計約1800万円をだまし取られていて、この組員が詐欺罪で有罪が確定したことで、暴力団対策法で定める「代表者責任」を根拠として、篠田組長や高山若頭ら4人に損害賠償を求めて提訴した。
今回の提訴では、被害者が損害賠償請求訴訟を起こす際に、勝訴の見込みなど弁護士による事前調査の費用や公判記録の謄写代など50万円程度を福岡県警が全額負担するという、2023年6月に全国で初めて福岡県警が導入した制度を利用して行われた。
この制度を活用して提訴したケースは、2024年10月に特定危険指定暴力団・工藤會元幹部による「みかじめ料」恐喝事件の被害者男性が、工藤會トップの総裁・野村悟被告(78)=市民襲撃事件で二審無期懲役、上告中=ら3人を相手取り、被害金や慰謝料など総額約1450万円の損害賠償を求めた訴訟に続いて2例目となる。
また同日、福岡県警と愛知県警は今回の訴訟に合わせて篠田組長ら4人に対して、暴力団対策法に基づく請求妨害防止仮命令を発出した。請求妨害防止命令は指定暴力団員が損害賠償請求訴訟を起こした原告らに対し、つきまといや電話などで請求を妨害することを禁止するもので、違反した場合3年以下の懲役または250万円以下の罰金が科せられる。