福岡地裁で29日、2010年に福岡県大木町で、抗争中の指定暴力団・九州誠道会(現・浪川会)幹部と間違えて、元福岡県警の警察官を銃撃したとして、殺人未遂罪に問われた指定暴力団・道仁会系「三代目松尾組」元組員・松本武志被告(40)=同県うきは市=の裁判員裁判の初公判が開かれた。
福岡高等裁判所
松本被告は、殺人未遂罪で起訴されている当時・三代目松尾組組長(現・四代目松尾組総裁)・堤修平被告や、同幹部・末松大輔被告(別の銃刀法違反事件などで服役中)らと共謀し、九州誠道会の副会長の殺害を計画。
2010年2月20日午後5時ごろ、福岡県大木町絵下古賀の元警察官の自宅付近で、実行役の末松被告が副会長と間違えて元警察官に向けて拳銃を7発発射し、うち3発が右の太ももと足首付近を貫通して右脚骨折など全治3か月の重傷を負わせたとされている。事件当時、バイクに乗った2人組の男が目撃され、松本被告が実行役の末松被告を乗せて逃走していた。
検察側は冒頭陳述で、松本被告らが九州誠道会の副会長を射殺するための周辺調査を行う過程で、身長や体格、耳の形が似ていた元警察官を副会長と勘違いしたと主張。「組織的な犯行であることなどを知っていて、重要で不可欠な役割を担った」などとした。
罪状認否で松本被告は、「(末松被告が)逃走する際にバイクの運転はしたが、自分自身に殺意はなく共謀はしていない」と起訴内容の一部否認。弁護側は「事件の計画に全く関わっておらず、共謀は成立しない。役割は大きいとはいえない」などとして、殺人未遂ほう助が適用されると訴えた。