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福岡高裁(松田典浩裁判長)は9日、福岡県北九州市の建設会社会長射殺事件の遺族が特定危険指定暴力団・工藤會トップらに慰謝料など約7200万円を求めていた控訴審で、一審の約3300万円の支払いを命じる判決の一部を変更し、賠償額を550万円増額した約3850万円の支払いを命じる判決を下した。
福岡地方裁判所
この事件は2011年11月26日夜、「博新建設」会長だった内納敏博さん(当時72)が北九州市小倉北区の自宅前の路上で工藤會系組員らに射殺されたもので、のちに工藤會系組員ら8人が殺人罪などで起訴され、一審で全員が有罪判決を受けている。遺族らは、工藤會・野村悟被告と、ナンバー2の田上不美夫被告らに対して慰謝料などを含めた約7200万円の損害賠償を求めて提訴していた。
一審の福岡地裁は今年2月、「一市民であり何の落ち度もない被害者に危害を加えた殺人行為」、「工藤會全体の資金獲得行為のための組織的犯行と認められる」として、約3300万円の支払いを命じる判決を下した。この判決を不服として野村被告らは控訴、遺族も附帯控訴していた。
控訴審判決で松田裁判長は、野村被告の「総裁」の地位について、名誉職や儀礼的なものとは言えず、工藤會の実質的「首領」に該当すると改めて指摘。「極めて危険性が高く残忍な犯行態様」「一家の支柱となる者が交通事故で死亡した場合における一般的な慰謝料額との均衡」などとした上で、野村被告らの控訴を棄却し、一審判決の一部変更して賠償額3300万円から550万円増額した3850万円の支払いを命じた。