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夏祭りで暴力団員同士の乱闘事件 山口組・弘道会系「野内組」傘下会長に無罪判決

 大阪地裁(設楽大輔裁判官)で17日、2023年7月に大阪府貝塚市の夏祭り会場で起きた、暴力団員同士の突発的な乱闘事件で傷害の罪に問われていた、特定抗争指定暴力団・六代目山口組・三代目弘道会系「野内組」傘下会長(47)の判決公判が開かれ、設楽裁判官は「被告は当時現場にいたが乱闘に加わっておらず、共謀関係を認めることはできない」として、無罪判決(求刑・懲役4年)を言い渡した。

大阪地方裁判所

大阪地方裁判所

 会長は、2023年7月に貝塚市で開催された夏祭り会場で、指定暴力団・二代目東組傘下幹部ら3人とトラブルになり、配下組員や地元の後輩ら9人と共謀して3人に激しい暴行を加えてケガを負わせたとして、傷害の罪に問われていた。被害者である東組傘下幹部が、会長に対して「何でんの」「何かありまんの」などと因縁を付けたことから、配下の者らが乱闘する事件に発展したが、会長は被害者らに直接暴行を加えてなく、この裁判では乱闘事件で会長の共謀が成立するかが争点だった。

 これまでの裁判で検察側は、「最終盤まで配下組員らの暴行を制止しなかった」「売られたケンカを買ったことで乱闘に発展したが、配下組員らがケンカを買ったのに、ケンカを売られた張本人の会長がケンカを買わないなど暴力団組織としてありえない」「被告が直接暴行に及んでいないのは、買ったケンカを遂行するのに配下組員らに任せて事足りる状況だったからだ」などとして、共謀が成立するのは明白と主張し、会長に対し懲役4年を求刑していた。

 一方で会長側は、「最初から暴行を制止していた」などと主張していて、共謀は成立しないと無罪を訴えていた。

 判決で設楽裁判官は、「相手方との間に割って入るなどの積極的に乱闘を制止する行動には出ておらず、少なくとも途中までは暴行を一定程度黙認していた面がある」と指摘した一方、

●最初に暴行を始めた配下の組員は、因縁を付けてきた被害者の態度に腹を立て、被告の意思と関係なく自らの判断で暴行を加えた可能性を否定できず、反撃を受けるなどして興奮状態で更なる暴行に及んだと認められる。
●乱闘に加勢した者らも、相手方から暴行を受けて頭に血が上ってさらなる暴行に及んだと認められる。
●被告は乱闘を促進しているような言動はしておらず、むしろ何度か「やめとけ」と発言していた可能性が否定できない。
とし、

 「複数人同士が興奮状態で乱闘をしている最中にそれを制止することは、いかに上位の立場にあるといっても容易ではない」「乱闘に加わっていない被告が、自分や組の威信を守るなどの理由で、因縁を付けてきた相手方に制裁を加えさせたなどと評価するのは困難」などとして、「共謀があったとは認められない」とし、会長に無罪を言い渡した。

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