福岡県警は13日、北九州市で2012年9月、暴力団組員の立ち入りを禁じる「標章」を掲示した飲食店の経営会社役員の男性(59)が刃物で刺され重傷を負った事件で、特定危険指定暴力団・工藤會ナンバー3で理事長の、「五代目田中組」組長・菊地敬吾被告(45)=組織犯罪処罰法違反の罪などで起訴=ら4人を殺人未遂容疑で逮捕した。
福岡県警察本部
事件では既に工藤會系組幹部ら4人が殺人未遂罪で起訴されており、県警は菊地容疑者が組長を務める工藤會最大の2次団体「田中組」が組織的に事件に及んだとみて追及する。
逮捕容疑は12年9月26日、同市小倉北区下到津(しもいとうづ)1のマンション敷地内で、帰宅した男性の腰などを3回刺して殺害しようとしたとしている。男性は全治半年以上の重傷を負った。県警はいずれの容疑者の認否も明らかにしていない。
県警は、対象地域で標章を掲示する飲食店への組員の立ち入りを禁じる内容を盛り込んだ改正県暴力団排除条例が12年8月に施行され、工藤会が飲食店からみかじめ料(用心棒代)を取れなくなることへの危機感から見せしめとして事件を起こしたとみて捜査。今後菊地容疑者をトップとする指揮命令系統について調べる。
条例施行以降、標章を掲げるビルへの不審火や経営者らを狙った切りつけ事件などが12年8~11月に計9件発生。このうち、今回菊地容疑者らが逮捕された事件を含む4件で、工藤會系組員らが逮捕、起訴されている。