横浜地検は12日、殺人容疑で逮捕後に二度にわたり不起訴処分となった指定暴力団・住吉会系十三代目幸平一家傘下「義勇会」元幹部で無職・吉田将豪容疑者(39)=千葉県松戸市=について、男の知人らによる新たな証言など、男の殺人への関与を裏付ける複数の新証拠が得られたと判断して殺人罪で起訴した。同じ事件で二度の不起訴処分となった人物を新たに起訴するのは異例。
横浜地方検察庁
吉田容疑者は2013年7月14日午後8時20分ごろ、神奈川県逗子市で酒に酔って、海水浴場にいた指定暴力団・稲川会傘下組員らとトラブルからケンカになり、逗子海岸沿いの地下道で稲川会傘下の軽部洋組員(当時30)の胸などを多数回突き刺して心臓を貫通する致命傷を負わせ、殺害した疑いが持たれている。
神奈川県警はこの事件で2013年に吉田容疑者ら男4人を殺人容疑で逮捕したが、横浜地検は4人を不起訴処分とし、2015年に横浜第一検察審査会が目撃証言などから4人のうち吉田容疑者の不起訴についてのみ処分の不当を議決。地検は再捜査したが2016年に改めて不起訴処分としていた。
県警のその後の捜査から、事件直後は「覚えていない」などと供述していた吉田容疑者の仲間が、被害者の男性を「吉田容疑者が刺した」と証言したほか、新たな物的証拠が見つかったという。
吉田容疑者はこの事件の現場で、ケンカの仲裁に入った当時同じ義勇会組員(38)=千葉県松戸市=をナイフで複数回刺し、重傷を負わせたとして殺人未遂容疑で逮捕され、6月12日に起訴されている。