大阪府警は20日、長崎市内の私道に突然「進入禁止」と書かれたバリケードを設置して、付近の住人から通行料を脅し取ろうとしたとして、暴力団・二代目宅見組幹部で「三代目石川一家」総長・渡邊誠容疑者(55)=佐賀市=と、元宅見組幹部で「二代目池永組」組長・田中偉文容疑者(50)、自営業・田中啓仁容疑者(53)=福岡県小郡市=ら男4人を組織犯罪処罰法違反(組織的恐喝未遂)の疑いで逮捕した。府警は4人の認否を明らかにしていない。
バリケーがド設置された2019年当時
4人は共謀して2019年10月から約1か月間、田中啓仁容疑者が社長を務める不動産会社所有の長崎市青山町の私道上に、「進入禁止」と書いたプレートを貼りつけた約5メートルのパイプやコンクリートブロックなどで作られたバリケードを設置。付近の住民らに対し「一世帯につき通行料月額1万円」などとの通知文を回覧板で閲覧させた上、車所有の世帯に月額1万円、車非所有の世帯に月額3000円の通行料を求め、数十人の住民から脅しとろうとした疑いが持たれている。
逮捕された4人のうち、田中偉文容疑者は2024年5月に別の恐喝容疑で大阪府警に逮捕されていて、その捜査の過程で田中容疑者の携帯電話を調べる中で今回の事件への関与が明らかになった。
この私道を巡っては、「救急車も中に入れない。命に関わる問題」と不安の声が上がり、2019年10月に近隣住人が通行妨害の禁止とバリケードの撤去を求める仮処分を長崎地裁に申し立て、2020年1月には住民側が業者を相手取り、通行妨害の禁止などを求めて提訴。地裁がバリケードの撤去などを命じる決定を出し、2021年に所有権を業者から地元自治会に移す内容で和解が成立していて、現在は通行できるようになっている。