神戸地裁(丸田顕裁判長)で31日、2019年8月に神戸市中央区で特定抗争指定暴力団・六代目山口組系三代目弘道会傘下組員が銃撃された事件で、殺人未遂などに問われた当時、特定抗争指定暴力団・神戸山口組傘下だった「五代目山健組」組長・中田浩司被告(65)の裁判員裁判の判決公判が開かれ、丸田裁判長は「被告人が犯人である可能性は高いと言えるが、別人が犯人である可能性を否定し切ることはできない」などとして、中田被告に対し無罪(求刑懲役20年)を言い渡した。
山健組組長・中田浩司容疑者(60)
この事件は2019年8月21日夕、神戸市中央区にある弘道会の神戸事務所前で、車の運転席にいた弘道会傘下「二代目藤島組」組員(当時51)がバイクで近付いてきた何者かに拳銃で撃たれ、5発が命中し重傷を負った。この裁判では、凶器などの殺人を直接結びつける証拠がなく、銃撃現場や街中の防犯カメラに写る犯人が中田被告と同一人物かどうかが争点となっていた。検察側は防犯カメラの捜査で、現場からバイクを乗り継いだ人物が被告宅に入り、直後に最寄りの基地局から被告の携帯電話の発信があったと説明。カメラの画像鑑定の結果、犯人と中田被告の身体的特徴が一致しているとし、「犯人だと推認できる」と主張した。
弁護側は、防犯カメラの画像は不鮮明なものが多く、指紋やDNA型などの直接的な証拠はないとし、「有罪立証は不可能」と無罪を訴えていた。
山健組は事件当時、山口組と対立関係にあった神戸山口組傘下だったが、2020年7月に脱退し、2021年9月に山口組に復帰した。