群馬県伊勢崎市で、2021年3月に暴力団組員同士が乱闘となり、拳銃で銃撃された事件で、今年11月28日に逮捕され、翌29日に送検された指定暴力団・稲川会系「三代目前橋一家」幹部・上原淳容疑者(54)らの乱闘の原因は、組の関係者が、キャバクラ店の女性授業員を引き抜こうとしたことをめぐるトラブルが発端とみられている。
送検時の上原淳容疑者(54)
そのキャバクラ店は別の組関係者の息がかかっていてトラブルに発展。双方の組同士で話し合いが持たれたものの決裂し、乱闘事件に発展したという。事件当初から群馬県警は、双方の組織間の対立抗争ではなく、「何らかのもめ事」がキッカケで事件に至ったとみて捜査を進めてきた。
事件は2021年3月4日午前3時半ごろ、伊勢崎市本町の路上で特定抗争指定暴力団・六代目山口組系三代目弘道会傘下「野内組」幹部で「二代目栗山組」組長(50)と、栗山組関係者(28)に向けて、上原容疑者が拳銃を数発発砲するなどして、ケガを負わせたとされている。
群馬県警は、発生直後に拳銃で撃たれた栗山組組長ら2人が、群馬県太田市の病院で治療を受けていることを確認、乱闘の際に、車でひかれた別の関係者も治療を受けていて、拳銃や金属バットだけではなく、車でひき殺そうとした可能性もあるとみている。
事態を重く見た県警は捜査本部を設置、今年2月に、捜査線上に浮上していた上原容疑者を別の銃刀法違反事件で逮捕したが、翌3月に上原容疑者は処分保留で釈放されていた。この容疑は拳銃の単純所持で、この拳銃が発砲事件で使われたものかどうかは分かっていない。
県警は、延べ5万8000人の捜査員を投入し、周辺の防犯カメラや、ドライブレコーダーの映像解析、関係者の事情聴取を重ねた捜査の結果、上原容疑者が発砲事件に関与した疑いが強まり、11月28日に前橋市内で殺人未遂と銃刀法違反(発射罪)の容疑で逮捕した。乱闘や発砲に関わった他の組員らについても追及する方針。
29日の送検時、上原容疑者は警察車両の後部座席の真ん中に座り、大声をあげて座席を足蹴りして両サイドの警察官に制止される場面もみられた。