京都府警は28日、2013年に京都市内で起きた「餃子の王将」社長射殺事件で、別の銃刀法違反事件(※)で福岡刑務所に服役していた特定危険指定暴力団・工藤會系石田組幹部・田中幸雄容疑者(56)を、同刑務所内で殺人容疑などで逮捕。28日に福岡刑務所を車で出発し、約11時間かけて29日午前4時10分、山科警察署へ移送されてきた。
田中幸雄被告(56)
福岡刑務所から山科警察署まで陸路で約600キロ、新幹線などの公共交通機関を使わず車での移送は、暴力団側の襲撃リスクを考慮したものとみられている。こうした措置は送検についても取られ、通常、容疑者の身柄は検察庁に送られるが、田中容疑者の身の安全を優先し、検察官が警察署に来て取り調べを行う異例の対応となる。
京都府警と福岡県警は合同捜査本部を設置し、田中容疑者の自宅など両府県内を中心に関係先10か所以上を家宅捜索した。
事件のあった2013年の9月~10月に、田中容疑者は知人に借りた久留米ナンバーの軽乗用車で、2度にわたり京都入りし、山科区などを走り回ったことがNシステム(自動車ナンバー自動読み取り装置)などで確認されている。
事件前に田中容疑者にこの車を貸した知人が、田中容疑者から「乗ったことがわからないようにしてくれ」と依頼されたと証言している。この車で福岡から京都に入り、下見や逃走用バイクの物色に使用したとみられて、返却後に名義変更されていて、証拠隠滅が目的だったとみられている。
事件後、付近の防犯カメラには現場から逃走する盗難車のバイクが映っていて、バイクは現場から約2キロ先の駐輪場に乗り捨てられていた。ハンドルからは銃を撃った際に残る硝煙反応が検出された。バイクが盗まれた京都府城陽市内も田中容疑者が乗る車が走行しているんが確認されていて、逃走用バイクの物色にも使われたとみている。